ネットワークスペシャリスト試験のすすめ
ネットワークスペシャリスト試験(令和6年度春期)に合格しました。楽しかったので、布教記事を書きます。
ネスペ合格しましたー
— aruma (@aruma256) July 4, 2024
過去問が面白くて楽しみながら学べました、対戦ありがとうございました! https://t.co/DVWxRWAJaX pic.twitter.com/TRyavRBpsA
ネスペのここがいい
- 楽しい!
- 過去問題は「このような問題・課題があり、このような検討ポイント・観点があって、このような解決策が選ばれた」という他社事例を凝縮版で追体験するできるような楽しさがあった
- データセンターの拡張と仮想化技術導入、オンプレからクラウドへの段階的移行、メールサーバーの移行と障害対応、映像のマルチキャスト配信…
- 過去問題は「このような問題・課題があり、このような検討ポイント・観点があって、このような解決策が選ばれた」という他社事例を凝縮版で追体験するできるような楽しさがあった
- ネットワーク技術の基礎が身につく
- 特に午後2問題は短時間で知らない技術の仕様を読んで理解して応用していくことになるので、過去問演習で
- 応用できるレベルに基礎力がつく
- 新しい/初見の技術に出会っても「基礎の応用として打ち返せそうだ」という気持ちが高まる
- 特に午後2問題は短時間で知らない技術の仕様を読んで理解して応用していくことになるので、過去問演習で
- 知識が整理される
- 参考書では物理層からアプリケーション層までのネットワーク技術が網羅されているため、知識が体系的に整理される
- 関連する技術もまとめて学べるので、引き出しが増える
出題について
ネットワークスペシャリスト試験では、「LANケーブル内の撚り線」といった物理層からDNSやHTTPといったアプリケーション層、さらには「通知が多すぎると重要なものを見逃し得る」など人間のレベルまで、ネットワークに関わる幅広い知識、経験、応用力が問われます。
- 午前1試験 (50分): 応用情報技術者試験からピックアップされた四肢択一問題が出題されます。つまり、応用情報試験の出題範囲の知識を持っていることが前提となります。
- 午前2試験 (40分): ネットワークスペシャリスト試験独自の四肢択一問題が出題されます。ネットワーク技術の基礎知識が問われます。
- 午後1試験 (90分): 大問3つのうち2問を選び、記述式で回答します。
- 基本的単語を覚えていて、かつ理由や目的などを簡潔に説明できることが求められます。(例えば、「Gratuitous ARP」の用語穴埋めや利用目的の記述、ぱっとできるでしょうか)
- 午後2試験 (120分): 大問2つのうち1問を選び、記述式で回答します。
- 2時間で大問1つを解きます。個人的には「ラスボス」と呼んでいました。穴埋めや計算はもちろん、初見の技術の仕様を文章で読んでその場で応用して50文字で記述、なんてことも多々あります。
これを1日で受験するので、結構疲れます。
合格の条件は、各試験で6割以上の得点です。途中で合格ラインを下回ると、以降は受験していたとしても採点されません(例えば午前2で60点未満の場合、午後1と午後2は採点無し)。
令和6年度春期の過去問は https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/2024r06.html#haru_nw にあります。 より前の過去問もIPAのサイトにありますので、参考にしてください。
勉強方法
以下のスケジュールで勉強しました。
gpt-4 に「参考書600ページと過去問8年分をこの残日数でやるためのスケジュールを立てて」と投げるとこのようなスケジュールが返ってきたので、ほぼそのまま実行しました。
参考書
『徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書 令和6年度 』(インプレス) のKindle版を利用しました。この「徹底攻略」シリーズには、基本情報・応用情報の自習をしていた頃からお世話になっています。
平日の業務後や休日に時間を確保し、だいたい 100ページ/週 のペースで読み進めました。読みながら、重要なポイントや暗記すべき箇所をノートにまとめていきました。
また、理解が甘いと感じた箇所は、ChatGPTを始め各種LLMとディスカッション風にやり取りしながら深堀りしました。もちろん、現時点ではハルシネーションもそこそこ発生しますが、それはそれでRFCを参照したり自分で実験したりして確かめる機会にもなりました。AIを先生としてではなく勉強仲間のように利用することで、理解を深めるために活用できました。
ノート読み直し
参考書を読み終えた後の数日間は、おさらいや忘れていた箇所の復習としてノートを読み直しました。
過去問道場
- 午前1の対策: 応用情報技術者試験過去問道場
- 午前2の対策: ネットワークスペシャリスト試験過去問道場
午前1と2は過去問からの出題が多いと聞いていたので、移動時間や昼休み、寝る前などにスマホで何度も解いていました。
このサービスでは解説があるだけではなく、自身の各問題の正答状況などを管理して不正解・不得意問題の重点対策ができるので、非常に効率的でした。
試験当日までずっとお世話になりました。
ネスペ過去問を周回してたら『電源オフ時に』「RARP!」のような早押し的なことができるようになってきた
— aruma (@aruma256) March 25, 2024
過去問演習
2012年から最新まで、試験11回分の過去問(午後1の1,2,3、午後2の1,2)のうち、9割程度を解きました。
午後は選択問題なので、まずは本番想定でタイマーをスタートしてから問題を見て、得意・解けそうと思った問題を解き、次回は選択しなかった問題を解くというサイクルを繰り返しました。
「65分を確保して午後1の1問を45分以内に解いて残りで採点と復習」を平日に3回、「2.5時間を確保して午後2の1問を2時間以内に解いて残りで採点と復習」を休日に2回すると、1週間で1年分の過去問演習ができます。
といってもこれは理想形で、実際は用事や気分や体調に合わせて、あまり無理せず進めました。
ネスペのここがいい で述べたように、これが最も楽しかったです。
なお、『徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書 令和6年度』には過去11回分の解説が付属しているので、過去問演習に最適でした。
試験を終えて
職場には自分より遥かにネットワークに詳しい先輩方が多くいらっしゃるので、まだ頼られるような立場にはなれていませんが、何か問題が発生した際の切り分けや思考がスムーズになった実感があります。 例えば、開発中に「サーバーの台数を1から2へ増やしたところエラーが稀に発生するようになった」というとき、フラグメントが関連しているかもしれないと思い至ることができました。
なお、家ではネットワーク関連の設定やトラブルは丸投げ一任されるようになりました。